バッテリー内部抵抗測定回路

自動車等で使われる12V鉛バッテリーの内部抵抗測定回路を作りました。部品コストは1,000円以下です。

回路図上側が交流電流を流す回路です。スイッチがオープンになるとNE555が70Hz/50%デューティで発振します。78L05は定電流回路として使われており、NE555のOUT端子からは出力Hiの時に約50mA、Loの時に0mAの電流が流れます。
HiとLoで上側回路全体での消費電流が約50mA変化しますので、この時のバッテリー端子電圧差を回路図下側のオペアンプで増幅します。出来上がりはこのようになっています。


製作上の注意点:
・上側回路と下側回路で電源とGNDを完全に分離してください。バッテリー端子からの配線もバッテリークリップ部で上側用と下側用を別々にします。いわゆる4端子法もどきです。
・ NE555は通常タイプを使ってください。LMC555などのCMOSタイプは電源電圧が最大定格ぎりぎりになるのでお勧めしませんが、使う場合は出力電流が足りませんので外付トランジスターを追加してください。
・ LM358,NJM3404Aなどの普通の安価なオペアンプを使ってください。あまり高性能なものだと発振するかもしれません。またバッテリー電圧は最大15V程度になりますので、オペアンプの電源電圧の最大定格にも注意してください。


使い方:
1. OUT+とOUT-にテスターをつなぎ、AC電圧測定モードにします。
2. スイッチをショートした状態でバッテリーと測定回路を接続します。
3. スイッチをオープンにしてテスターの表示電圧が安定するまで待ちます。
4. バッテリー内部抵抗値はテスター表示電圧1mVあたり1mΩとなります。


出力の校正:
出力Hiの時の電流値には78L05の回路電流(≒2mA)が加算されるため50mAより少し大きくなり、また使っているテスターによって「真の実効値」が測定できるものとできないものがありますので、出来れば最初に校正しておいた方が良いです。「真の実効値」が測定できるテスターではR8=1.3KΩ(1.5KΩ+9.1KΩ並列)、測定できないテスターではR8=1.4KΩ(1.5KΩ+22KΩ並列)が計算値です。
1. フル充電された正常なバッテリーを用意します。
2. バッテリーと測定回路を直結して測定し、テスター標示が数十mV以下になることを確認します。
3. バッテリーと測定回路の間に1Ωの抵抗を入れて再度測定します。
4. テスター標示が1.0Vになっているか確認します。大きく違っている場合はR8の値を調整します。
※バッテリーの内部抵抗値というのはあまり厳密なものではないらしいので、この回路定数のままでもそれなりに使えます。


応用:
コイルやケーブルなどの1Ω以下の抵抗値が測定したい時、校正時と同じようにバッテリーと測定回路の間に接続して、直結時との差分をとれば簡易mΩメーターとして使えます。ただし測定時に60mA程度の電流が流れますので、電流定格には気をつけてください。


注意:
・ この回路は12Vバッテリー専用です。