12V ACアダプターから±12Vを作る その2

前回はDC/DCコンバーターIC LT1370を使いましたが、今回は安価な汎用リニアIC NE555とLM311を使ってDC/DCコンバーター回路を組み、12V ACアダプターから±12V電源を作ります。

定格出力は±12V/1Aに設定しました。NE555を250KHz/43%Dutyで発振させ、出力をそのままP-MOSFETに接続して負電圧を作っています。正電圧と負電圧の中点をLM311に入力して、中点がGND以下になるとNE555の発振を停止させ、GND以上になると発振が再開します。LM311はエミッター出力が負電源と分かれているのでこういった用途では使いやすいです。

特徴は
・回路が簡単で部品代が全部で1000円以下と安い
・発振周波数が比較的高い(250KHz)のでコイル、コンデンサーが小さくて済む
・無調整で負電圧出力が正電圧出力に自動的に追従するのでACアダプターの電圧を変えればこのままの回路で±5〜±15V電源として使える
C3とC7は安価な固体電解コンデンサー(FPCAP、RSオンラインで100円以下)を使っていますが、定格リップル電流が定格電流の2倍以上あれば通常の電解コンデンサーでもいいです。

上画像の作例では前回同様リセット回路も入れてあります(スイッチとダイオードの間)。平均消費電流が0.5A程度の小型アンプの電源に使うので、15x25x0.5mmの小さな銅板を放熱用にMOSFETショットキーダイオードに半田付けしてありますが、平均消費電流が大きい場合は大きな放熱板を付けてください。LTSPICEのシミュレーションでは、1A連続出力時の発熱がMOSFET:0.7W、ショットキーダイオード:0.4W、+12V→-12Vの変換効率は88%です。

この回路をLTSPICEでシミュレートする際にLTSPICEの標準ライブラリーを使う場合、LM311→LT1011、2SJ377→Si9407AE、1N5822→MBRS340を使うと良いと思います。かなり簡単な回路ですが、シミュレートではそこそこの性能になっています。