1段プッシュプルアンプ その1

パソコン用に小型パワーアンプを作りました。+12V単電源で最大出力は1W+1W (RMS, 1KHz, 歪1%)です。

オペアンプトランジスターの構成ですが、電源電圧が12Vなので出来るだけ出力振幅が取れるように1段プッシュプルにしました。しかし実際にやってみるとNJM4580の場合はトランジスターより先にオペアンプ出力が飽和するので、TL431で作っている中点電位を電源電圧の1/2=6VからQ3のVbeの分だけ(0.65V)下げて5.35Vにしました。これで無信号時のオペアンプ出力が6Vになるので、大振幅の時に片側だけ飽和することがなくなります。トランジスターの出力も0.65V下がり5.35Vになりますが、単電源アンプでスピーカーとの間にコンデンサーが入っているので大きな問題はありません。

LTSPICEでシミュレーションすると最大出力は 中点電位 6V:0.8W 5.35V:1.0Wになります。また、このままの回路でLT1498などのRail-to-Railオペアンプに変更すると1.6W、TLC272などのマイナス電源電圧まで出力可能なオペアンプにしてR3をショートして中点電位を5Vにすると1.25W出ます。とは言ってもディスプレィの脇にスピーカーを置いていれば1Wでも十分な音量です。

上画像の作例は72x48mmの小さい基板で作ったため、抵抗は全てチップ抵抗(3216サイズ)を裏面実装しています。C1は固体電界コンデンサー、C10,C16はオーディオ用電界コンデンサー、C5,C7,C11,C13はフィルムコンデンサーを使っています。出力トランジスターは32V/2Aの中電力用で、2SC1815とともに放熱板にエポキシで接着しています。アイドリング電流を30mAに設定するため、0.5Ω抵抗(1Ωを2本並列)の両端電位差が15mVになるようVR1,2を調整して完成です。現在は車載用サブウーファーを追加して2.1ch構成にしているので、C5,C11を0.022uFに変更し低域を80Hzでカットしています。

なお電源にACアダプターを使う場合はこのままの回路で良いですが、音声入力と同じパソコンから12V電源を供給する場合や車載で使う場合は、音声入力にトランスを入れてグラウンドを分離しないとグラウンドループでノイズ乗りまくりになります。トランスはサンスイST-71または同等品が定番です。