N-VANで車中泊時に電子レンジ(出力500W、消費電力1000W)やコーヒーメーカー(消費電力500W)を使うためにサブバッテリーシステムをSBC-004+自作サブバッテリーモニター +SMF31MS-850+SP-1500で構築していました。SMF31MS-850は2018年に購入して2025年までは内部抵抗<4mΩ、CCA700台をキープしていましたが、今シーズン終わって内部抵抗4.5mΩ/CCA600台まで落ち込んで来たのでLiTimeの12.8V/165Ahリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiTime12165)に換装しました。
LiTime12165の選択ポイントは
1. SMF31MS-850と同サイズ(Group31)なので置き換え可(物理)
2. 電子レンジ使用時の放電電流が90AなのでBMSの最大電流値は150A欲しい
3. 主目的がスキー場での車中泊なのでバッテリー内ヒーター必須
重さ:
LiTime12165:15.2kg ⇔ SMF31MS-850:24.6kg … 腰に優しい9.4kg軽量化

LiTime12165 ⇔ SMF31MS-850 重量比較
大きさ:
どちらもGroup31サイズを謳っており天板の大きさと高さはほぼ同じですが、LiTime12165は側面が垂直なためその分少し大きい。特に底面の長さが6mm違う。SMF31MS-850の現物合わせでギリギリのサイズでサブバッテリー格納箱を作っていたので箱の改造が必要でした。

LiTime12165 ⇔ SMF31MS-850 サイズ比較
使ってみる:
左から 電子レンジ(消費電力1000W:放電電流90A)、コーヒーメーカー(消費電力500W:放電電流40A)、無負荷。インバーターSP-1500の効率は約90%。165Ahの大容量により消費電力1000Wの機器がフル充電から1.8時間使えます。電子レンジ5分使用で7.5Ah、コーヒーメーカー1杯分2.5分使用で1.7Ah。

電子レンジ(1000W)、コーヒーメーカー(500W)、無負荷
SBC-004での走行充電:
SBC-004は昇圧モード電圧14.3Vらしいので一応LiFePO4でも使えるはず。従来のシステムのままでSMF31MS-850からLiTime12165にバッテリーだけ置き換えて走行充電を行った所、とても長い充電時間が必要でしたがフル充電にはなりました。ただしフル充電になっても電圧供給が続くので過充電保護が掛かりBMS警告が点灯しています。

フル充電:BMS警告表示

BMSの状態表示
懸念点と対策:
SBC-004の走行充電でも一応LiTime12165のフル充電は可能で、フル充電後は保護モードに入って充電は停止しているので過充電にはなりません。しかしフル充電状態を長時間維持されることになりバッテリー寿命に影響が出そうなのと、この状態から少しでも放電すると充電再開するので充放電サイクル数的にもあまり気持ちが良くない。
そこで自作サブバッテリーモニターでSBC-004のACC連動機能を使い通常のLiFePO4充電コントローラーと同様に充放電制御することにしました。具体的にはバッテリー電圧を監視しSOC90%位で充電を停止し放電モードに入り、その後SOC10%位になるまで放電モードを続けてから充電再開させたい。
バッテリー電圧の充電ON/OFFしきい値を決めるため、まずLiTime12165の充放電カーブを測定します。
SBC-004での走行充電カーブ:
下図が走行充電時のLiTimeアプリでの実測値。車両側の充電制御は掛かっていないオルタネーター電圧14.4Vの状態で測定。SBC-004の最大電流値30Aの状態は一瞬で終わるので、実質CC(定電流)モード無しのCV(定電圧)モードで充電されています。頻繁に使われるSOC25~75%では充電電流約10A、SOC90%近辺は約8A。
なお車両側で充電制御が掛かるとオルタネーター電圧は12V付近に下がり、SBC-004は昇圧モード(14.3V/最大10A)になります。この状態での充電電流はLiTimeアプリ実測で約7Aでした。

SBC-004での走行充電カーブ
この電流値で時間あたりの充電量をプロット。SOC10%から90%まで15時間位かかるので、日々の電池使用量によっては「寝る前にエンジン掛けて充電!」が必要かも。まあ冬場は暖房のため必然的にそうなるけど。もう少し充電電流を増やしたいところ。

SBC-004での時間あたり充電量
ちなみに走行充電時のバッテリー電圧はSOC70%~99%までずっと13.5Vで、99%になって「フル充電までの推定時間は0.22時間」とか表示されてから2時間以上経過してやっと13.6Vになります。SOC99%と表示されてから8A✕2時間で16Ah≒バッテリー容量の10%の充電してもまだフル充電にならないので、SOC99%表示された時の実際のSOCは90%以下だと思う。LiTime12165のSOC表示はあまり当てにならない。
LiTime12165の放電カーブ:
下図がLiTime12165の放電カーブ。LiTimeアプリでの実測値ですが、SOC20%あたりから急激に電圧が落ちており、おそらくSOC10%表示あたりでほぼフル放電状態。充電時同様LiTime12165のSOC表示はあまり当てにならない。
0.05C:インバーターとポータブル冷蔵庫その他、0.25C:コーヒーメーカー、0.5C:電子レンジ。

LiTime12165 放電特性
充放電しきい値の設定とシステム修正:
結局LiTime12165のSOC表示はあまり当てにならない事が分かり、では充電停止・再開のバッテリー電圧しきい値はいくらに設定すれば良いのか?下図のLiFePO4充放電カーブは「蒼天航路」様のサイトhttps://www.drone-aerialshoot.com/camper/whats_fullcharge/ 「満充電」とはなにか? から引用。とてもためになる内容なので一読をお勧めします。あまり当てにならないLiTime12165のSOC表示は無視して、この充放電カーブから充放電しきい値を決めてしまいます。

LiFePO4の充放電カーブ(「蒼天航路」様から引用)
まず充電停止は13.6Vとします。SBC-004の場合SOC90%近辺での走行充電電流値は8A位なのでLiTime12165の165Ah容量では8÷165≒0.05C。上図によると0.05C充電時のバッテリー電圧13.6V:セル電圧13.6÷4=3.4VはSOC95%。もう少し下げたいのだけれど13.5VだとSOC70%で充電停止になってしまう。
次に放電時はバッテリー電圧12.5Vで充電再開とします。上図によると0.05C放電でバッテリー電圧12.5V:セル電圧3.125VはSOC7%なので少し下がりすぎですが、電子レンジを使うとSOC30%、コーヒーメーカーを使うとSOC20%でバッテリー電圧12.5Vになるので、まあしょうがない。
自作サブバッテリーモニターの修正点は、デジタルトランジスターを2個追加して(下図Q4、Q5)ACCをゲートしてCHG信号を作成し、これをSBC-004のACC連動入力端子に接続。あとはバッテリー電圧とACC電圧を監視してこのCHG信号をON/OFFするようにソフトウェアを修正。しばらくこれで運用してみて走行充電量が足りないようならシステム変更を検討しよう。

自作サブバッテリーモニター追加回路
使い勝手その他感想:
やはり軽くなったのが大きい。今まではインバーター、走行充電器、配線、格納箱込みで約30kgあったのが約20kg。腰に優しい。自己放電が少ないのも嬉しいところ。価格もサイクル寿命考えると鉛バッテリーより圧倒的に安くなる。とは言ってもSMF31MS-850は8シーズン使ったけれど。
あと地味に便利なのが「放電スイッチ」。Bluetooth経由でスマホアプリからバッテリーの出力をON/OFFする機能で、インバーターなどのケーブルを接続する時は切っておくとバッテリーにケーブル接続時の「バチッ」と火花が飛ぶのが防げて精神的にとても良い。しかしそれを設定するLiTimeアプリの日本語は今どきめずらしい程に中国。すごく怪しい。昭和の中華製品の雰囲気。下図は放電スイッチ切断時の警告表示ですが
「閉じると、バッテリーが装置から電源を切ります。装置が断電する可能性があります。この操作を行うことを確認してくださいか?」
意味分からん...

放電スイッチ停止機能
LiTimeアプリの言語を英語に変更すると以下のように表示されます。これをGoogle先生で翻訳すると
「閉じると、デバイスへのバッテリー供給が停止します。デバイスが故障する可能性があります。」
こっちの方が少しは分かりやすいけど、何だか「相手は死ぬ」っぽい言い回し。
日本語も英語も"Discharge Switch OFF"を中国語から翻訳する際に何故か"Close/閉じる"に変えてしまったのが敗因の1つかな。そもそもSwitchの"Close"はONの意味。Switch OFFは"Open"。

Discharge Switch
追記:中国語表示も確認しました。
「关闭后,电池将停止对外供电,您的设备可能会断电。您确定要这样做吗?」
Google先生が日本語に翻訳すると
「シャットダウンすると、バッテリーの外部給電が停止し、デバイスの電源が切れる可能性があります。本当に実行しますか?」
Google先生が英語に翻訳すると
"After shutting down, the battery will stop supplying power, and your device may lose power. Are you sure you want to do this?"
......中文表記はとても分かりやすいのですが。日文・英文、何故そうなった?ちなみにGoogle先生の解説では:
・「このメッセージは、無停電電源装置(UPS)の設定や、スマートフォンのバッテリー管理アプリなどで、給電機能を無効化しようとした際によく表示される警告文です。」 ← 決まり文句なんですね。了解しました。
・「关闭后 (guān bì hòu): シャットダウン後/電源を切った後 」← ここを「Close/閉じる」としてしまったのですか。
・「可能会断电 (kě néng huì duàn diàn): 電源が切れる可能性があります」 ← 切れるが「fail(故障する)」になったのですか。

放电开关
おまけ:鉛バッテリー用パルス充電器で上記システムを充電
上記システムでLiTime12165への充電がバッテリー電圧13.6Vで正しく停止するか検証するために鉛バッテリー用パルス充電器を使って自宅で充電してみました。LiFePO4用充電器持っていないので。
使った充電器はOmega Pro OP-0002(AcDelco AD-0002のOEM元製品)。充電パターンは
Stage1:定電流(CC)で14.4~14.7Vまで充電
Stage2:14.4~14.7Vでしばらく定電圧(CV)
Stage3:15~16Vに上げて定電圧(CV)
Stage4:Stage3の充電電流が小さくなったら14.4~14.7Vで保持
という4段階。鉛バッテリーのサルフェーション除去のため充電電圧にパルスを乗せているのがウリの充電器ですが、LiFePO4バッテリーにはパルスは不要なのでパルスを多少減衰してくれる事も期待して間にSMF31MS-850を噛ませて充電してみました。
OP-0002の充電電流値を15Aに設定して走らせてみると、OP-0002のバッテリー残容量表示がずっと60%のまま10時間以上Stage1の定電流充電を続けています。充電電流15Aのうち13AがSBC-004経由でLiTime12165の方に流れているので「底の抜けたバケツ」状態になっているもよう。その間定電流充電が継続されているLiTime12165のバッテリー電圧が徐々に上がっていき、充電開始から約12時間後に13.6Vに達し、自作サブバッテリーモニターがSBC-004をOFFにして充電が停止しました。その後ACC信号をON/OFFしても充電が復帰しない事を確認して充電停止機能の確認完了。しかし大容量バッテリーだと動作確認するのにも時間が掛かって大変。

OP-0002による充電風景(ブレーメン?)