WF120BD03を使ったサブウーファー(5)

LTSPICEを使ったダンピングファクター計算
低音のキレが悪いという事はダンピングファクターがとても低くなっていることが考えられます。そこでLTSPICEを使い前回作ったスピーカーモデルでダンピングファクターを計算してみます。
回路のなかで一番怪しいのはパワーアンプとスピーカー間のカップリングコンデンサーです。コンデンサーは周波数が低くなるにつれてインピーダンスが上がりますから、低域ほどパワーアンプ側の出力インピーダンスが高くなり、ダンピングファクターが低くなります。
下の回路は、前回のスピーカーの等価回路にカップリングコンデンサーを接続し、その先をグラウンドに落としたものです。グラウンドにはどんな電流を流してもグラウンド電位から一切変化しませんから、これは出力インピーダンスゼロ=ダンピングファクター無限大のパワーアンプと見なすことができ、それにカップリングコンデンサー経由でスピーカーを接続したことになります。

ここでスピーカー端子に外部から交流電圧v(spk)を加えると、パワーアンプ側の出力インピーダンスはv(spk)/i(c2)、スピーカー側の入力インピーダンスはv(spk)/i(r1)として計算できます。よってダンピングファクターはスピーカー入力インピーダンス/アンプ出力インピーダンス = (v(spk)/i(r1)) / (v(spk)/i(c2)) = i(c2)/i(r1)となります。
カップリングコンデンサー容量を2200uF, 3300uF, 4700uF, 6800uF, 8200uF, 10000uFに変化させたときの20Hz〜1KHzのダンピングファクターをプロットしたのが下の図です。

最初の回路ではカップリングコンデンサーを2000uFにしていましたが、40Hzでのダンピングファクターは2200uF:5, 3300uF:7, 4700uF:10, 6800uF:15, 8200uF:18, 10000uF:22となっています。真空管アンプ時代からの経験則では、ダンピングファクターは10以上あれば普通は十分と言われていますので、ウーファーが4Ωの場合カップリングコンデンサー容量は4700uF以上の方が良さそうです。